高麗人蔘の栽培は、6年という歳月をかけ、丹精を込めて育てられています。
高麗人蔘の栽培
高麗人蔘は植物学的には「五加木(うこぎ)科」に属し、多年草の宿根草です。古代より深山幽谷に自生し、幾年もの間寒さに耐えながら命を灯してきた生命力の強い不思議な植物です。その栽培は非常に難しく、数世紀にわたり試行錯誤を繰り返し、朝鮮の「高麗朝」の時代に初めて平地栽培に成功します。日本においては、江戸時代初期に幕府の命を受けた島津藩が苗や種を朝鮮から持ち帰り、徳川8代将軍吉宗公の時代にようやく栽培に成功し、幕府直轄として各藩に栽培を奨励しました。
幕府直轄の日光薬草園にて栽培されていた人蔘の種や苗を当時志賀村(現佐久市)の篤農家であった神津孝太郎が持ち帰り、信州でも栽培されるようになりました。
栽培のポイント
一般的に高麗人蔘を栽培する畑は長年の育成で土壌の成分を吸い取ってしまうため連作ができないと言われますが、センチュウという害虫が収穫後の残ったヒゲ根で増殖するためと近年では言われています。しかし、地力が豊かな場所が良いことは間違いありません。高麗人蔘に適した地力の豊かな土壌にするためは土を何度も掘り返し天日による消毒をしたり、土や砂の量、栄養素などを時間をかけて改善します。また、冷涼な気候と腐植質の土壌を好み、朝日は良いが日中から夕日を直接浴びるのはだめ。水捌けの良い土地を好むが乾燥させすぎてもだめ。と、なかなかに気難しい植物です。ですので、環境をしっかり整備することが栽培のポイントです。
種まき・植え付け
種まきは春蒔き、秋蒔きと年2回の適期があります。
高麗人蔘の種は殻が硬く、胚芽が未成熟なため、発芽までに20ヶ月以上かかることもあります。苗を使用する場合、苗床で2年育てた後、生育の良いものを選んで移植します。植え付けの際は、畝の高さは40〜50cm、株間は15cm間隔で植え付け、4cmほどの厚さで土をかぶせます。プランターで育てる場合は、深さが30cm程度の大型プランターを選び、赤玉土(小粒)と腐葉土を3対1で混ぜた土に有機肥料をしっかりと施します。底には砂利を敷いて水捌けをよくしましよう。化学肥料は使用しないでください。

管理
高麗人蔘は直射日光(特に西日)を嫌うため、4月から10月にかけては遮光ネットなどで日除けが必要ですが、光が全く入らないと生育が悪くなるので、朝日を適度に浴びるよう調整が必要です。乾燥も苦手なので、土の表面が乾いたら水やりをしますが、水のやり過ぎは根が腐るので注意が必要です。1週間から10日間隔で土壌の乾燥具合を確かめながらしましょう。

収穫
植え付けから2〜6年後の秋〜冬に収穫しますが、高麗人蔘の主要な有効成分である人蔘サポニンの量が増えるのは4年目からで最大になるのは6年目です。
根を痛めないように丁寧に掘り出してください。

